
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 治療内容 | 短期集中治療 ・インプラント治療 ・セラミック治療 ・精密根管治療 ・クリーニング |
| 年齢 | 50代 |
| 性別 | 男性 |
| 期間 | 4ヶ月 / 8回 |
| 費用(税込) | 1,500,000円(※自費診療) |
| リスク・副作用 | ・被せ物を装着するため、歯牙削合(健康な歯を削る処置)を伴います。
・インプラントなどの外科処置において、術後に痛みや腫れが生じるリスクがあります。 |
1. 患者様のご紹介(主訴・お悩み)
50代男性の患者様です。「歯が黒い」「歯がないところがある」といったお悩みがあり、お電話でご相談のうえ来院されました。
強い自覚症状はなく、痛みはあまり感じていない状態でしたが、前歯の黒ずみをきっかけにお問い合わせをいただきました。お話を伺うと、これまで歯医者に通う時間がなかなか取れず、ご自身でも気づかないうちに、お口の状態が悪化していたようです。
2. ご来院時の状態と診断
初診時には、レントゲン撮影、歯式の確認、歯ぐきの検査などの歯周病検査を行いました。さらに、お口の状態を把握するため、CT撮影、口腔内写真撮影、上下の型取りも実施しました。
検査の結果、患者様の自覚症状は少ないものの、実際には歯周病が進行していることが分かりました。また、奥歯のむし歯や、歯の根の先に炎症が起こる「根尖病変」も確認されました。
さらに、歯が折れている箇所もあり、抜歯やインプラント治療が必要な状態でした。噛み合わせの高さから見直す必要があるほど、お口全体に問題が広がっており、全顎的な治療が必要であると診断しました。

【コラム】根尖病変とは
むし歯などが原因で歯の神経が死んでしまうと、細菌が歯の根の先まで侵入し、根の先の周囲に炎症や膿のたまり(膿瘍)を生じる病気です。
3. 治療計画
お口全体に複数の問題が見られたため、まずは患者様のお悩みやご希望をお伺いしたうえで、全体的な治療計画を立てました。
治療内容としては、インプラント治療、CR、ダイレクトボンディング、セラミック治療、精密根管治療に加え、SRPなどの歯周病治療、クリーニングを行う方針としました。
広範囲にわたる処置が必要だったため、治療は部位ごとに分けて進める計画としました。奥歯の治療を優先し、その後に前歯の処置へ進むことで、噛み合わせの状態を維持しながら、患者様のスケジュールやご希望にも配慮し、無理のない治療計画を組みました。
【コラム】CR・ダイレクトボンディングとは
CR(コンポジットレジン)とは、歯科用の樹脂を歯に直接盛り付けて形を整え、むし歯を削った部分や欠けた歯を修復する治療です。前歯など見た目が重視される部位では、歯の色や形を細かく再現する「ダイレクトボンディング」と呼ばれる方法で治療を行うことがあります。
【コラム】精密根管治療とは
歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用し、肉眼では見えないほど細い歯の根の管を拡大して行う根の治療です。
【コラム】SRPとは
スケーリング・ルートプレーニングの略で、歯周病治療の一つです。歯ぐきの奥深くに付着した歯石や細菌に感染した歯の根の表面を取り除き、歯根面を滑らかに整える処置です。
4. 治療のポイント
実際の治療では、以下の点を重視して進めました。
①費用を含めた治療計画の説明
検査後は、現在のお口の状態についてご説明し、その時点で分かる範囲で費用や治療期間の見積もりをお伝えしています。なお、CT画像などをもとに分析が必要な場合は、2回目のご来院時に診断結果と見積もりをご提示しています。疑問や不安を解消したうえで治療を受けていただくことが、スムーズな治療につながると考えています。
②通院回数を少なくする工夫/インプラント治療に合わせた同時進行
通常であれば1本ずつ進めるむし歯治療も、通院回数の負担をできるだけ抑えられるよう、今回は上顎の治療をまとめて行うなど、1回の通院で複数箇所を処置しています。
インプラント治療では、埋入手術、二次手術、上部構造の装着といった必要な通院のタイミングがあります。その際、患者様の体調やスケジュールに余裕がある場合には、セラミックなどの補綴治療も同時に進め、効率よく治療を行いました。
インプラントは、埋入した人工歯根が骨と結合するまでに3〜6か月ほどの治癒期間が必要です。そのため、複数の歯を治療する場合は、全体の治療期間が1年程度になることもあります。今回は、インプラント治療に合わせて他の治療も同時に進め、1回の通院で複数箇所をまとめて処置しました。その結果、お口全体の治療でありながら、約4か月・8回の通院で治療終了することができました。
※治療期間・通院回数は、お口の状態や治療内容によって異なります。
③治療期間と噛み合わせへの配慮
噛み合わせについては、最終的な被せ物を入れる前に仮歯を装着し、実際の使用感や経過を確認する期間を設けながら慎重に治療を進めました。
5. 治療後・予後

通常半年以上はかかると想定される全顎的な治療を約4か月で終了し、見た目や噛み合わせの改善につながりました。今回の治療では、多くの歯に処置が必要な状態でしたが、インプラント治療を中心に計画を立て、1回の通院でインプラント以外の部位もできるだけまとめて処置を行いました。 治療内容が多いケースであったため、通院回数や治療期間の負担に配慮しながら治療を進めています。
短期集中治療は、仕事や学業などで何度も通院する時間を確保しにくい方や、歯科治療への不安があり治療を長引かせたくない方にとって、選択肢の一つとなります。
今回のように、しばらく歯医者を受診していない間に、気づかないうちにお口の状態が悪化していることもあります。お口全体の状態が気になる方は、一度当院までご相談ください。
監修:六本木交差点デンタルクリニック 院長 長山結加
【略歴】
大阪歯科大学卒業
大阪歯科大学附属病院 歯科口腔外科にて研修
研修終了後、一般歯科医院にて勤務
大手医療法人クリニックにて院長・副院長を歴任